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トム・クルーズ夫婦新婚時の作品。「ランドラッシュ」が印象深かった「遥かなる大地」。
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農民が地主の横暴に苦しめられた19世紀末のアイルランド、小作農ジョセフ(トム・クルーズ)の父も、厳しい地代の取立ての混乱で事故死する。更に地主の配下に家を焼かれ、怒ったジョセフは地主を射殺しようと地主邸に向かうが失敗、銃の暴発のため負傷し、復讐相手の邸で介抱を受けるという間抜けな結果となる。そこには、放火の張本人で地主令嬢と結婚を図るスティーブン(トーマス・ギブソン)がいて、ジョセフは彼を襲うも再度失敗し、彼と決闘させられることに。そこへ、実はスティーブンのお高くとまった性格が嫌いで、堅苦しい生活を捨てアメリカ行きを望む地主令嬢のシャノン(ニコール・キッドマン)が現れ、ジョセフを攫うように連れ去り、2人のアメリカ行きの旅が始まる―。
ピンクのうつ病アダム
アイルランド系移民の苦労を描いたロン・ハワード監督の'92年作品で、トム・クルーズとニコール・キッドマンが仲良かった頃、と言うか、結婚したての頃の作品ですが、映画の中に出てくる「オクラホマ・ランドラッシュ」というのが印象深かったです。
歴史では1889年4月22日にオクラホマへの白人の入植が認められ、15ドルの入植手続料を払った人々がオクラホマ境界線に集まり、正午を告げる号砲が鳴ると一斉に乗り込んでいき、1人当たり65ヘクタールの土地を手に入れることが出来たとのこと。
1889年のランドラッシュ
要するに、新大陸のフロンティア時代の入植者に土地を格安で配るというもので、移民たちが白線に並んで「用意ドン!」で駆けっこして、ここからここまでは自分の土地だと主張した場所の土地が与えられるというスゴイものなのですが(当然、そこで醜い争いも生じる)、お嬢さんだが気が強いシャノンと、自分の土地を得るにはこの方法しかないと考えるジョセフは、このレースに参加する―。
ロン・ハワードにはアイルランド人の血が流れていて、祖先にはこのオクラホマのランド・ラッシュに実際に参加した人もいたとのことで、随分前からこの映画の構想は練っていたそうです。
ニコール・キッドマンをヒロインに想定していたところに、トム・クルーズが出演の名乗りを上げたそうですが(ロン・ハワードは2人が交際していることは知らなかった)、トム・クルーズ自身にもアイルランド人の血が流れています。
2人とも演技自体は悪くないと思います。特に、上流意識を持ち、気位が高いながらも、ボディガード代わりに連れてきたトム・クルーズに内心では惹かれていくニコール・キッドマンの演技がいいです(トム・クルーズはこの映画の随所で、状況の急な変化に振り回される、三枚目的な味を出している)。
趣味の店、フォールズチャーチ、バージニア州。
フランク・キャップラの「或る夜の出来事」の、寝室で男女がロープにシーツを吊るして「こちらへ先は入ってこないように」というルールを作る「ジェリコの壁」のエピソードなどがパロディ的に織り込まれていたりして、細かいところでも楽しめました。
再び歴史に戻ると、オクラホマは、北米大陸先住民が白人たちに武力で打倒され、強制移住させられた地であって、米政府はそこでの先住民たちの土地所有権を一旦は永久に認め、白人の入植を許可しなかったのが、1886年のアパッチ族との戦いで先住民との戦いが終息すると、約束を反故にして白人の入植を認めたとの経緯があるとのこと。
入植移民たちが駆けっこして奪い合っている土地は、元々は先住民のものであるはずなのに、この作品ではそうした"侵略者"としての反省的視点が弱いという批判的な見方も出来ますが、この映画が日本でも本国でもあまりヒットしなかったことを思うと、そうしたことも含めてもう少し注目されても良かったのでないかと(自分自身も劇場ではなくビデオで観たのだが)。
この作品は「ゴールデン・ラズベリー賞」という不名誉な賞を受賞していますが、それは、こうした歴史的な視点が希薄なことよりも、ストーリー自体が結構どたばたで、悲劇的な部分も喜劇に見えてしまうことにあったのではないか。
役者の演技よりもシーンの繋がりが良くない、だからこうなるんだろうけれども、歴史大河ドラマ的な話よりも娯楽作品の方がこの監督には向いているのではないかと思ったら、ロン・ハワード監督(元々は俳優出身で、「アメリカン・グラフィティ」('73年)などにも出ていた)は、その後「アポロ13」('95年)から「ダ・ヴィンチ・コード」('06年)まで多くのヒット作を飛ばし、その間「ビューティフル・マインド」('01年)でアカデミー賞監督賞を受賞しました。
アカデミー賞に関しては、ニコール・キッドマンも「めぐりあう時間たち」(′02年)で主演女優賞を獲っています。
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「遥かなる大地へ」●原題:FAR AND AWAY●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:ブライアン・グレイザー/ロン・ハワード●脚本:ボブ・ドルマン●撮影:ミカエル・サロモン●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:140分●出演:トム・クルーズ/ニコール・キッドマン/トーマス・ギブソン/ロバート・プロスキー/バーバラ・バブコック/シリル・キューザック/コルム・ミーニー/アイリーン・ポロック/ミシェル・ジョンソン/ダグラス・ジリソン/ウェイン・グレイス/バリー・マクガヴァン/ニオール・トイビン/ランス・ハワード/クリント・ハワード/ゲイリー・リー・デイヴィス/ジャレッド・ハリス/スティーヴン・オドネル●日本公開:1992/07●配給:ユニヴァーサル映画=UIP(評価:★★★☆)
一方のトム・クルーズは、それ以前に「トップガン」('86年)で一躍スターになっていたわけで、日本でもこの映画は大ヒットしました。
まあ、米海軍が協力を惜しまない "USネイビィのリクルート戦略"の一環のような映画でした。
「ハンガー」(′83年/英)のトニー・スコット監督、ハリウッドに渡ってがらっと作風が変わったみたいですが、パターン化されたストーリーで、「F-14トムキャット」のみが唯々美しかった...というのが個人的印象です。
この作品、「ER 緊急救命室」の"グリーン先生"ことアンソニー・エドワーズがトム・クルーズの同僚パイロット役で出ていたんだなあ(同じ俳優であるという印象があまりないのは、すっかり減ってしまった頭髪のせいか)。
「トップガン」は日比谷スカラ座で観たのですが、この劇場は旧「東京宝塚劇場」内にあって、当時は約1200席の大劇場、行った時はちょうど宝塚の公演がはねた後のスターの「お見送り」で、女性ファンが劇場前に溢れていました。
その合間をぬって映画館のフロアに行くと、今度はトム・クルーズのファンだと思われる女性達で一杯...。"宝塚"を見に行く女性と"トム・クルーズ"を見に行く女性とでは、見た目でも傾向に違いがあったなあ。
旧・日比谷スカラ座
1940年4月16日東京宝塚劇場ビル4階にオープン、1955年7月14日改装 1998年1月18日閉館
(2000年12月16日、新築された東京宝塚劇場ビルの地下1階に再オープン)
「トップガン」●原題:TOP GUN●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督:トニー・スコット●製作:ドン・シンプソン/ジェリー・ブラッカイマー●脚本:ジム・キャッシュ/ジャック・エップス・Jr●撮影:ジェフリー・キンボール●音楽:ハロルド・ファルターメイヤー/ジョルジオ・モロダー●時間:110分●出演:トム・クルーズ/ケリー・マクギリス/バル・キルマー/アンソニー・エドワーズ/トム・スケリット/マイケル・ アイアンサイド/ジョン・ストックウェル/リック・ロソビッチ/メグ・ライアン●日本公開:1986/12●配給:UIP●最初に観た場所:日比谷スカラ座(86-12-14)(評価:★★)
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